CLIENT STORIES
教育体系構築コンサルティング
一人ひとりが現在地と次の一歩を描ける教育体系へ
~人財育成・キャリア形成・評価をつなぐ5つの成長支援ツールの作成~

01 事例概要
概要
ジェイティプラントサービス株式会社では、職種・職級ごとの職務定義や、社員がキャリアを考えるための「キャリア成長支援プログラム」を整備していました。しかし、職務定義の表現は抽象的で、社員に求められる役割やスキルが伝わりにくく、人財育成・キャリア形成・評価を一貫して結び付ける基盤に課題がありました。そこで、同社の人的資本経営における主要施策である「価値共創できる人財への成長支援」を推進するため、インソースコンサルティングとともに、人財要件表、スキルマップ、キャリアマップ、部署別キャリアパス、研修体系図など、5つの成長支援ツールを再構築しました。全従業員アンケートや経営層との議論を重ね、社員が自身の現在地と次の成長ステップを理解し、上司と共通認識を持って成長への対話ができる基盤を整えました。
目的
- 人財育成・キャリア形成・評価を一貫して結び付ける成長支援基盤の構築
- 社員が自身の現在地、キャリアの選択肢、次に身につけるべき能力を理解できる状態の実現
- 上司と部下が共通の基準に基づき、成長やキャリアについて対話できる環境づくり
ご支援内容
教育体系構築コンサルティング
・全従業員アンケートの設計・分析
・5つの成長支援ツールの作成
1. 人財要件表、2. スキルマップ、3. キャリアマップ、4. 部署別キャリアパス、5. 研修体系図
02 事例詳細 Success Story
「何を求められているのか」が見えない――抽象的な職務定義を見直すところから
――まず、教育体系を再構築した背景を教えてください。
企画部 企画チーム 課長 篠崎さん
以前から、職種・職級ごとの職務定義はあったんです。ただ、自分が読んでもちょっと分かりづらいなと思うくらい表現が抽象的で、読んでも結局、「自分には何が求められているのか」が分かりにくいところがありました。数年前から、もう少し明確にしたいという話は出ていたのですが、なかなか実際に見直す機会を持てずにいました。今回、人財要件表ができたことで、これまでの職務定義を大きく変えなくても、社員に求められる役割やスキルが一目で分かるようになりました。もともと感じていた「何を求められているのかが分かりにくい」という課題に、一つ答えを出せたと思っています。
企画部長 沙さん
そうですね。当社では、人的資本経営の重要な取り組みの一つとして、「価値共創できる人財への成長支援」を掲げています。これを進めるには、社員一人ひとりが自分の成長やキャリアを主体的に考え、必要な能力開発に取り組める環境が必要です。そこで、人財開発から人財育成、キャリア形成、評価までを一貫して結び付ける教育体系こそが、当社が目指す人的資本経営を具現化し、「価値共創できる人財への成長支援」を実現する基盤であると考え、今回の取り組みを行いました。

「今どこにいて、次に何を目指すか」を上司と部下の共通言語に
――教育体系の作成により実現したかったことは何でしょうか?
沙さん まず社員一人ひとりに、自分が今どの位置にいて、次に何を目指し、何を身につければよいのかを理解してもらいたいと考えました。キャリアは会社が一方的に示すものではありません。一人ひとりのありたい姿やライフステージに応じて主体的に考えられるよう、会社として支援したい。そのうえで、上司と部下が成長について共通認識を持ち、対話できる環境をつくることを重視しました。
篠崎さん 人財要件表は、まさにそのための基準になっています。キャリアマップも図解にして、どのコースを選ぶと、どのようなルートでステップアップしていけるのかが見えるようになりました。
企画部 企画チーム 主任 小久保さん
以前のキャリアパスは、どのコースを選んだら、どういうルートで上がっていくのかが少し分かりにくかったんです。今回は可視化されているので、「自分はこのコースを選べば、こうステップアップできる」とかなり明確になりました。上司側も説明しやすくなったと思います。
篠崎さん そうですね。上司と部下が同じ基準とステップを見ながら話せるようになったことは大きいですね。
全社員アンケートが、社員自身の振り返りと「求める人財像」の再確認につながった
――人財要件表づくりでは、全従業員アンケートも実施されました。そこから見えたことはありましたか。
篠崎さん 回答を見てみると、同じ職種・職級であっても、「自分に何が求められているか」の捉え方に違いがありました。自分の業務に必要なことは答えられても、「会社から求められていること」になると、人によって少しずつ違う。やはり、職務定義や人財要件をきちんと明確にする必要があると再認識しました。人財要件表の表現も、アンケート結果をベースに何度も見直しました。例えば、上位職では企業理念に基づいた行動を意識する表現にし、下位の階層では、より具体的な行動や業務遂行能力を示す。「この表現では上位の階層との差が見えない」といった議論を重ねて、段階が伝わる言葉にしていきました。
小久保さん 全従業員を対象に、こうしたアンケートを行ったのは、おそらく初めてだったと思います。かなり詳しく書いてくれた社員も多かったですね。会社が一人ひとりのありたい姿を大切にして、その思いを具体的な仕組みにしようとしていることは、感じてもらえたのではないでしょうか。社員自身にとっても、自分の強みや、仕事で何を求められているのかを振り返る機会になったと思います。文章の改行や語尾まで細かく見直し整えることで、社員にも、説明する管理職にも読みやすいものになったと思います。
「何が正しい姿なのか」――管理職同士で育成基準を一つずつ決めた
――プロジェクトの中で、一番難しかったのはどこでしたか。
小久保さん 私が特に難しかったと感じたのは、部署別キャリアパスやスキルマップを作るところです。各事業で必要な研修・資格・スキルは、ある程度分かっていたのですが、どれを必須にするのか、どれを推奨にするのか、どの職級で、いつ身につけるのか、厳密には決まっていませんでした。
篠崎さん 改めて考えてみると、管理職の間でも「何が正しい姿なのか」が一つに定まっていなかったんですよね。
小久保さん そうなんです。例えば、ベテランの方は資格もスキルもたくさん持っている一方で、若手はまだ十分ではない。でも、「本当はこの職級までに、この能力や資格は持っていてほしい」というものはある。そこを一つずつ掘り下げて整理しました。
篠崎さん 今回こういう機会があったから、各事業に求められることを改めて整理できた面もありますね。
小久保さん 事業ごとの管理職会議や全支店へのヒアリングも行い、必要資格と推奨資格を洗い出して、最後は合意まで持っていきました。整理には2~3カ月ほどかかりました。大変ではありましたが、みんなで議論して認識をそろえたうえで決められたことは、本当に良かったと思っています。

「説明する管理職にも分かりやすく」――思いを添えて伝えられるツールへ
篠崎さん ほかにも意識していたのは、ツールを見る社員だけでなく、それを社員に説明する管理職にとっても分かりやすいものにすることです。本社から聞いた説明をそのまま伝えるのではなく、管理職自身の思いや言葉も添えて伝えてほしい。そのためにも、誰が見ても分かりやすく、見やすく、理解しやすいものにしたいと考えていました。キャリアマップや部署別キャリアパスは、文字を詰め込みすぎず、視覚的に伝わる形にしました。自分がどこにいて、次に何を目指していけばいいかが見えやすくなったと思います。
小久保さん 社員から雑談ベースでは「今自分がどこにいて、次に何を目指せばいいのかが分かりやすくなった」という声を聞いています。
沙さん 組織として「価値共創できる人財への成長支援」を推進していくなかで、社内の認識をそろえていくところも苦労したところでした。経営陣とは「成長支援とは何か」というところから議論しました。10人いれば10の考え方があります。その中で、会社として何を成長支援と位置づけるのかを整理し、支店長会議でも本当に細かいところまで一つずつ確認しました。そこで出た意見をインソースコンサルティングに伝え、また新しい提案をいただく。その往復を重ねたことで、各支店の経営を担う支店長も納得できるものになったと思います。
今ちょうど、キャリア面談に合わせて、新しい人財要件やキャリアパスの説明を始めているところです。支店からは「何を目指せばよいのかが明確になった」という声を聞いています。上司と部下の双方に共通の基準ができたので、「次のステップに進むには何が必要か」「今は何が足りないか」と具体的にアドバイスしやすくなったと感じています。
「一方的な正解ではなく、一緒につくる」――自社の思いと専門知を掛け合わせる
――インソースコンサルティングと進めたことで、どんな点が良かったのでしょうか。
沙さん 以前から研修でお世話になっていて、当社の人財育成に対する考え方や課題を理解していただいていたことが、お願いするきっかけになりました。社内だけでこれだけのものを作ろうとすると、どうしてもリソースに限りがありますし、キャリア支援の専門家が社内にいるわけでもありません。「本来どうあるべきか」という枠組みから考えるには、専門家の知見が必要でした。結果として、一年かからず形にできたことは大きな成果だったと思います。
一方で、提案いただいたものをそのまま受け入れたわけではないんです。「いや、当社としてはこうなんです」とお伝えしたことも結構ありましたよね。

篠崎さん そうですね。本社内での検討、支店長会議、コンサルタントとの打ち合わせを連動させながら、何度も修正を重ねました。終盤はかなり集中的な進行になりましたが、最後まで一緒に細部を詰めていただきました。
沙さん コンサルティングというと、提案されたものが正解で、それに合わせなければならないように感じることもあります。でも今回は、自分たちの思いを大事にしながら、専門家の意見も取り入れられた。一方的ではなく、一緒に作り上げられたことが良かったと思います。
ツールは「作って終わり」ではない。使いながら、社員が未来を描ける文化へ
――最後に、これからこの仕組みをどう育てていきたいですか。
沙さん ツールは、作るだけでは意味がありません。まず社員一人ひとりが、自分の現在地、次に目指すこと、必要な能力開発を理解することから始めます。今後は、キャリア面談や1on1など、上司と部下の対話の中で継続的に活用し、各自がありたい姿やライフステージに応じて主体的にキャリアを考えられるよう支援していきます。
篠崎さん これから実際に使っていく中で、現場の声も聞きながら、ツールや教育体系を少しずつ改善していきたいと思っています。社員一人ひとりが自分でキャリアを考え、成長に取り組むことが当たり前になる。今回の取り組みを、そういう企業文化につなげていきたいですね。
沙さん 今回の取り組みを通じて改めて感じたのは、研修を並べることだけではなく、「求める人財像」「成長の道筋」「学びの機会」「評価」のつながりを社員に示すことが大切だということです。そして、各種ツールは現場で活用されてこそ価値を発揮します。これから使いながら、会社としての成長支援をさらに育てていきたいと思います。
(役職はインタビュー当時のものになります。インタビュー日時:2026年9月)
03 企業紹介

コンサルタントより
今回インタビューをさせていただく中で、作成した教育体系や各種ツールが実際に活用され、その有効性を実感いただいていることを伺うことができ、大変嬉しく思います。また、上司と部下の面談で活用されるためには、従業員だけでなく管理職にとっても分かりやすく、説明しやすい内容であることが重要であるという考え方を改めて確認し、人材育成施策を定着させるうえで不可欠な視点であると認識しました。
プロジェクトを通じて特に印象的だったのは、各支店や事業部門の意見を丁寧にすり合わせながら、より良いものを目指して議論を重ねられていたことです。また、教育体系の構築を人的資本経営の重要施策として位置づけられていたことは、私たちの考えとも重なるものであり、その取り組みに伴走できたことを大変光栄に思います。
今後も本取り組みが社員の皆さまの成長と組織のさらなる発展につながっていくことを期待しております。

- SHIOI Toru 潮井 徹
- シニアコンサルタント